外部性

となりの花畑のおかげでうちのミツバチが忙しくなるように、値を払っていない利益や損害がお隣へ渡っていくことです。

定義 養蜂場のとなりに果樹園ができると、ハチは蜜をたくさん集められ、リンゴの木は実をよく結びます。二人はお金をやり取りしたことがないのに、利益が行き来したわけですね。このように、誰かの活動が値を払うことも受け取ることもないまま、となりの人に利益や損害を残すことを外部性と呼びます。

値を払わないまま行き来する利益

養蜂家が巣箱を置いた丘のとなりに、果樹園が新しくできたとしましょう。二人は契約を交わしたこともなければ、お金をやり取りしたこともありません。

ところがミツバチはリンゴの花を訪ね回り、蜜をたっぷり集めてきます。リンゴの木は、ハチが花粉を運んでくれたおかげで実をよく結びます。どちらも相手からただの贈り物を受け取ったことになりますね。

こうして渡っていった利益は、どちらの値札にも書かれていません。はちみつの値段にもリンゴの値段にも、「となりのおかげで増えた分」は計算に入っていないからです。市場で行き来したお金だけを見ていると、この利益は目に入りません。

市場の外で静かに行き来するこうした利益を正の外部性(よい外部性)と呼びます。誰かが路地に植えておいた木が、通りかかる人の夏の足取りを涼しくしてくれるのも同じ話です。

蜂と果樹園が無償で利益を与え合う正の外部性 受粉を助ける 蜜が増加 蜂箱 果樹園 価格がつかない

煙突の煙のように渡っていく損害

逆に、損害が渡っていくこともあります。川の上流の工場が汚れた水を流せば、取引とは何の関わりもない下流の村の人たちが水を使いにくくなります。

工場は品物を作りながら材料費と人件費を払います。けれども川を汚した分の値は払いません。その値は、村の人たちの不便と、水をよみがえらせる費用というかたちで代わりに支払われるのです。

ですから工場が計算する費用は、社会全体が実際に払っている費用より少なくなります。値が安く付けられるので、工場は社会にちょうどよい量より多く作ってしまうことになります。

正の外部性では、まったく逆のことが起こります。他人に回る利益は値段に映らないので、路地を手入れするような役に立つ活動は、社会が望むほどには行われません。

もう少し正確に言うと:値を付けて内側へ取り込みます

もう少し正確に言うと、外部性は市場が自分の力だけでは解きにくい宿題です。値札に書かれていない利益と損害には、需要と供給が気づいてくれませんから。

そこで、外へ漏れ出した値をもう一度価格の内側へ引き入れる方法を使います。損害を残す活動には税金や負担金をかけ、役に立つ活動には補助金を上乗せする、といったやり方です。

汚染物質をどこまで出してよいかを決めておき、その権利を売り買いさせる方法もあります。出す量が少ないほうが得をするように、値を付けてあげるわけですね。減らしやすい工場から先に減らすようになる点が、この方法の長所です。

利害が少人数に集まっていて、互いに話し合いやすいときは、当事者どうしの合意で片づくこともあります。どの道を選んでも目指すところは同じです。渡っていった値を、値札に戻してあげることです。

🤔 よくある誤解

✕ 誤解

外部性は、公害や騒音のように悪いことだけを指す。

✓ 事実

利益が渡っていく正の外部性もあります。ミツバチと果樹園のように、互いにお金をやり取りしなくても利益を分け合う場合がここに入ります。

✕ 誤解

外部性とは、取引をした二人が損害を分け合って背負うことだ。

✓ 事実

取引に加わっていない別の人へ、利益や損害が渡っていくことが要です。その分に値が付かないので、市場が自分で量を調節できません。

🧺 日常で出会う場面

1 となりの家が塀に植えておいたバラのおかげで、うちの前の路地まで一緒に華やぐこと
2 夜遅くに路地を走るバイクの音のせいで、まわりの家が寝つけないこと
💡 つまり ひとことで

取引の当事者ではない人へ値なしに渡っていく利益や損害のことで、価格に映らないため市場が自分では調節できません。

📖 この概念が登場するストーリー