公共財
暗い夜の海ですべての船のために明かりを灯す灯台のように、お金を払わなくても誰もが一緒に受けられる恩恵のことです。
定義 公共財とは、対価を支払わない人の利用を排除できず、ある人が利用しても他の人が使える量が減らない財やサービスのことです。国防、警察・治安、街灯などが代表例です。民間企業では利益を出しにくいため、主に政府が税金によって供給します。
暗い夜の海の灯台は、なぜ利用料をもらえないのでしょうか?
真っ暗な夜の海にたたずみ、光を放つ灯台を思い浮かべてみてください。灯台の光は、海を行き交うすべての船の道しるべになります。しかし、灯台の持ち主が通りかかる船をいちいち追いかけて利用料を集めるのは不可能です。
お金を払っていないからといって、その光を見られないように遮る方法がないからです。経済学ではこれを排除できない性質(非排除性)と呼びます。パン屋さんならお金を払わない人にパンを渡さないことができますが、灯台の明かりはお金を払っていない船長でも同じように見て安全に航海できます。
さらに、1隻の船がその光を見たからといって、光がかすんだり、他の船が受けられる恩恵が減ったりすることもありません。このように、多くの人が同時に使っても量や質が減らない性質を競合しない性質(非競合性)といいます。この2つの独特な性質をあわせ持つ存在を「公共財」と呼びます。
なぜ一般的な企業は公共財を作らないのでしょうか?
もし、ある民間企業が大金を投じて街の路地という路地に明るい街灯を設置したとしましょう。夜道が安全になって地域の住民は大喜びするはずですが、その企業はほどなくして大赤字を出し、倒産してしまいます。
街灯の下を通る住民に「利用料を払ってください」と請求しても、進んで財布を開く人はいません。自分がお金を払わなくても街灯は夜通し点いており、歩くのを邪魔されることもないからです。こうして、対価を払わずに恩恵だけを受けようとする「フリーライダー(ただ乗り)」が生まれます。
結局のところ、民間企業は公共財を作って売っても利益を出せません。市場原理に任せたままだと、社会全体に絶対必要なサービスなのに誰も作らないという問題が起きてしまいます。そのため、政府が法に基づいて税金を集め、国防や治安、街灯といったサービスを自ら供給するのです。
正確に言うと:政府が作ったからといってすべてが公共財とは限りません
政府や公企業が税金で建設・運営しているものは、すべて公共財だと誤解されがちです。しかし経済学において公共財を分ける基準は、「誰が運営しているか」ではなく財そのものが持つ固有の性質です。
例えば、政府が建設した有料高速道路や国立公園を考えてみましょう。高速道路は入口に料金所を設けることで、通行料金を払わない車の進入を遮断(排除)できます。また、週末に車が殺到して大渋滞が起きれば、他のドライバーが快適に走れなくなり混雑(競合)が発生します。
お金を払わない人を締め出せたり、使うときに競合が生じたりするものは、純粋な公共財ではありません。国全体を守る国防や夜道を照らす街灯のように、対価を払っていないからと締め出すこともできず、誰もが同時に同じ恩恵を享受できるものだけが、真の公共財にあたります。
🤔 よくある誤解
政府や公企業が税金で建設・運営している施設は、すべて公共財である。
政府が運営していても、料金所を設けて利用者を締め出せる高速道路や通信網などは非排除性を満たさないため、純粋な公共財ではありません。
公共財は誰にとっても有益であるため、民間企業が競い合って自発的に供給する。
対価を払わない人の利用を遮断できず利益が出せないため企業は作らず、だからこそ政府が税金を使って直接供給します。
🧺 日常で出会う場面
お金を払わない人を排除できず、同時に使っても減らないため、民間企業ではなく政府が税金によって供給する財やサービスのことです。