質量保存の法則

レゴブロックで作ったお城をバラバラにしてロボットに組み立て直しても、使ったブロック全体の重さは1グラムも変わらないという原理です。

定義 化学反応が起きて物質の性質や見た目がどれほど大きく変わっても、反応する前の物質の総質量と、反応後に新しくできた物質の総質量は常にピッタリ一致するという自然界の法則です。物質を形づくる基本の粒である「原子」が勝手に消えたり新たに生まれたりすることはなく、ただ組み合わせ方が変わるだけだからこそ起こる現象です。

レゴブロックを組み替えるのと同じです

赤と青のレゴブロック100個で立派なお城を作ったあと、気が変わって全部バラバラにして車を作ったところを想像してみてください。完成した形はガラリと変わりましたが、箱の中にあるブロックの総数と全体の重さは1グラムも変わりません。

私たちの周りの空気や水、土、そして私たち自身の体まで、世の中のすべての物質は「原子」というごく小さなレゴブロックでできています。物質どうしが出会って新しい物質に変わる化学反応が起きるときも、原子がどこかへ消え去ったり、何もないところからポンと生まれたりすることはありません。

もともと手をつないでいた原子どうしが手を離し、新しい相手と組み直しているだけなのです。レゴブロックの数が変わらないのと同じように、反応の前と後で原子の数がまったく同じであるため、全体の重さも常に一定に保たれます。

質量保存の法則 - 反応前後で原子の種類と数が等しく水平な天秤 反応前 赤4個・青2個 反応後 赤4個・青2個 原子の数が同じで重さが変わりません

燃えて消えた薪はどこへ行ったのでしょう?

大きな薪(まき)を焚き火にくべて燃やすと、ほんのひと握りの軽い灰しか残りません。目に見えるものだけで判断すると、あんなに重かった木がまるで魔法のように宙に消え、軽くなってしまったように思えます。鉄のクギがサビると逆に重くなる現象も不思議に感じられますよね。

しかし、これは「空気」という目に見えない参加者を忘れているからです。木が燃えるときに空気中へ散らばった煙や二酸化炭素、水蒸気を密閉したガラス容器の中にすべて閉じ込めて重さを量ると、元の薪と使われた酸素を足した重さと正確に一致します。サビた鉄のクギも、空気中の酸素が鉄と結びついたことで、その酸素の重さ分だけ増えたに過ぎません。

物質が外へ逃げ出したり入り込んだりできない密閉空間で反応を観察すると、どんな化学変化が起きても全体の質量は決して変わらないことがはっきりと確認できます。

密閉フラスコ内で燃焼前後の質量が100.0gに保存される様子 反応前 100g 燃焼反応 反応後 100g 質量保存(前後で一定)

もう少し正確に言うと:エネルギーとの秘密のやりとり

日常生活で起きる料理や燃焼(物が燃えること)、腐食(サビること)といった一般的な化学反応では、質量保存の法則は実質的に完璧に成り立ちます。この過程で出入りする熱や光のエネルギーはごくわずかなため、通常のハカリでは質量の変化をまったく測定できないからです。

しかし、原子の中心にある原子核が分裂したり合体したりする原子力発電や太陽内部の核反応では、少し違ったことが起こります。反応前よりごくわずかに質量が減る代わりに、その減った分の質量がとてつもない量の光や熱エネルギーとして爆発するように放出されるのです。

天才物理学者アインシュタインは、質量とエネルギーが本質的に同じものであることを証明しました。現代の物理学では、物質の質量だけでなく放出されたエネルギーまで質量に換算してトータルで捉える質量・エネルギー保存の法則によって、自然界の完全なバランスを説明しています。

🤔 よくある誤解

✕ 誤解

木を燃やすと灰しか残らないので、全体の質量が減ったのだ。

✓ 事実

目に見えない気体(二酸化炭素や水蒸気)になって空気中へ逃げただけです。逃げた気体と燃焼に使われた酸素まで密閉容器に集めて測れば、反応前後の質量は完全に一致します。

🧺 日常で出会う場面

1 密閉されたガラス瓶の中でろうそくを燃やしても、火をつける前と消えた後でガラス瓶全体の重さはまったく変わりません。
2 水100gに砂糖20gを溶かすと、砂糖の粒が見えなくなっても、砂糖水の重さは正確に120gになります。
💡 つまり ひとことで

化学反応の前後で物質を構成する原子の種類と数は変わらないため、全体の質量は常に一定に保たれます。