漏電遮断器(漏電ブレーカー)

家に入った電気が外へ漏れず、無事に戻ってきているかを監視する厳格な出入国審査官です。

定義 漏電遮断器(漏電ブレーカー)は、電線や家電製品の外へ電気が漏れ出す「漏電」が起きたとき、瞬時に電流を遮断して感電事故や電気火災を防ぐ家庭の安全装置です。普段は分電盤(ブレーカーボックス)の中に入っています。

「行き」と「帰り」の電気の量をリアルタイムで比較しています

家庭で使う電気は、出発点に戻ってくる往復切符のようなものです。コンセントの片方の穴から入った電気は、家電製品を動かした後、必ずもう片方の穴から同じ量だけ戻らなければなりません。正常な状態なら、「入った電気の量」と「戻ってきた電気の量」は完全に一致します。

ところが、洗濯機内部のコードが古くなって被覆が破れたり、機器に水がかかったりすると、電気の一部が別のルートから漏れ出してしまいます。人が触ったときに体を伝って地面へ流れたり、機器の本体表面を伝って流れたりする状態を「漏電」と呼びます。

漏電遮断器の中には、ドーナツ型をした小さなセンサー部品(零相変流器)が入っています。この装置は、入っていく電流と戻ってくる電流の量をリアルタイムで比較しています。2つの間にわずかでもズレが生じたら電気が外へ漏れている証拠なので、「行き」と「帰り」の電気の差に気づいた瞬間にスイッチを落として電気を止めます。

漏電遮断器の漏電検知・遮断原理図 差0.1A検知!即遮断 流入電流 10A 帰還電流 9.9A 検知コイル 漏電発生0.1A

なぜ0.03秒という一瞬で電気を切るのでしょうか?

人の体に電気が流れると、心臓に致命的なダメージが加わります。特に心臓が細かく震えて血液を送り出せなくなる「心室細動」が起きると、ほんの数秒で命に関わる危険があります。そのため、家庭用の漏電遮断器は、人間が危険を感じるよりも速い0.03秒(30ミリ秒)以内という一瞬で作動するように設計されています。

もう少し詳しく言うと、漏電遮断器はどんなに小さな電流のズレでも片っ端から遮断するわけではありません。静電気やごく微小な自然放電でいちいち電気が切れてしまっては生活が成り立たないからです。そのため、一般的な家庭用製品は、約30ミリアンペア(mA)以上の漏れ電流が感知されたときにだけ電光石火でスイッチを作動させます。

水気のある浴室や洗濯機置き場などは、濡れた皮膚のせいで感電の危険性がはるかに高いため、より敏感な15ミリアンペア用の高感度ブレーカーを個別に設置することもあります。このように漏電遮断器は、生活の便利さを損なうことなく命を守る最後の砦として機能しています。

配線用遮断器(安全ブレーカー)との違いと正しい点検方法

分電盤を開けると、スイッチがいくつも並んでいます。電気を一度に使いすぎてコードが発熱するのを防ぐのが「配線用遮断器(安全ブレーカーやアンペアブレーカー)」で、電気が外に漏れ出る事故を防ぐのが「漏電遮断器(漏電ブレーカー)」です。

漏電遮断器の前面には、赤色や黄色の小さな「テストボタン(点検ボタン)」が付いています。このボタンをつまようじなどの先が細いもので軽く押すと、内部で疑似的な漏電状態が作られます。「バチン」と音がしてスイッチが下に落ちれば、遮断器が危険を正しく感知できている証拠です。

ブレーカーも時間が経つと内部の部品が劣化することがあるため、安全のために月に1回はテストボタンを押して点検する習慣が大切です。もしボタンを押してもスイッチが落ちない場合は内部が故障しているため、すぐに新しいブレーカーに交換する必要があります。

漏電遮断器テスト月1回点検図 主幹ブレーカー テスト釦 T 漏電遮断器 月1回点検必須! 押すとカチッと落ちる

🤔 よくある誤解

✕ 誤解

ブレーカーが落ちる理由は、一度に電気を使いすぎたときだけである。

✓ 事実

電気の使いすぎ(過電流)で落ちることもありますが、コードの破損や湿気によって電気が外へ漏れ出た(漏電)場合にも作動します。この2つは全く異なる原因です。

✕ 誤解

漏電遮断器さえあれば、アース線(接地線)がなくても感電することはない。

✓ 事実

漏電遮断器とアース線はセットで働くパートナーです。アース線が接続されていることで電気が漏れた瞬間に遮断器がすばやく感知し、安全に電気を遮断できます。

🧺 日常で出会う場面

1 雨の日にエアコンの室外機に水が入り込み、漏電遮断器が作動して電気が止まるケース。
2 古くなったドライヤーのコードの被覆が破れ、内部の銅線が触れ合った瞬間にブレーカーが落ちるケース。
💡 つまり ひとことで

漏電遮断器は、入った電気が完全に戻ってこずに外へ漏れ出したとき、わずか0.03秒で電気を遮断して感電や火災を防ぐ安全装置です。