作用・反作用の法則
壁を強く押すと自分の体が押し戻されるように、私たちが世界に力を与えると、世界も全く同じ大きさで押し返してくる「力のキャッチボール」です。
定義 ある物体が別の物体に力を加えるとき、相手の物体からも同時に大きさが等しく向きが正反対の力が押し返されるという物理学の基本原理です(ニュートンの運動の第3法則)。自然界のすべての力は決して単独では存在せず、必ずペアになって働きます。
スケートリンクで友達を押すとどうなる?
スケート靴を履いて、ツルツルの氷の上に友達と並んで立っている場面を想像してみてください。じっと立っている友達の背中を両手で力いっぱい押したら、友達だけが前に滑り出していくでしょうか? 実際には友達だけでなく、自分自身も後ろへスーッと押し戻されてしまいます。
自分は友達だけを押したつもりでも、自分の手や足にも後ろ向きの力がかかったのです。自分が友達に力(作用)を加えたまさにその瞬間、友達の体も自分の手を同じ強さで逆向きに押し返している(反作用)からです。
このように、世の中のすべての力は常に2つの物体の間の相互作用として現れます。両手で拍手をするときに右手だけが一方的に左手を叩くことができないのと同じで、自然界にたった1つだけで孤立して存在する力はありません。
私たちが地面を歩けるのも同じ原理です。足の裏で地面を後ろへ蹴り出すと、地面が私たちの体を前へと押し出してくれるため、前に進むことができるのです。
ロケットは何もない宇宙空間をどうやって進む?
宇宙のように空気も足場もない真空中を、巨大なロケットはどうやって前に進むのでしょうか? 多くの人はロケットが機体の後ろにある空気や地面を押し返して進んでいると考えがちですが、実はまったく違います。
ロケットは周囲の物質を押す代わりに、内部に積んだ燃料を燃やしてガスを後ろへと猛烈なスピードで噴射します。ロケットがガスを後ろへ押し出した瞬間、噴き出すガスがロケット本体を前へ力強く押し返してくれる力が生まれるのです。
プールで手や足を使って水を後ろへ押し流しながら前へ泳ぐのも同じです。水を後ろに押した分だけ、水が体を前へ押し出してくれる反作用が働きます。
空気をいっぱいに膨らませた風船の口を結ばずに手を離すとどうなるでしょうか? 空気が勢いよく噴き出すのと同時に、風船は空気と反対の方向へ飛んでいきますよね。周りに何もない空間であっても、自ら何かを噴射することさえできれば、どこでも前に進むことができるのです。
もう少し詳しく:なぜ力は打ち消し合わないの?
少し詳しく見ると、作用と反作用は力の大きさが完全に同じですが、2つの力が互いを打ち消し合ってゼロになることはありません。なぜなら、2つの力が働く対象(目的語)がそれぞれ異なるからです。
自分が壁を押すとき、作用の力は「壁」にかかり、反作用の力は「自分の手」にかかります。1つの物体を両側から同じ力で引っ張って静止させる「力のつり合い」とは異なり、作用・反作用は2つの物体が力を1つずつやり取りしている状態なのです。
また、巨大なダンプカーと小さな軽自動車が正面衝突するときも、2台がお互いに及ぼし合う力の大きさは完全に同じです。トラックのほうが大きな力を与えていると錯覚しがちですが、力の大きさは全く同一です。
では、なぜ軽自動車のほうが激しく壊れてしまうのでしょうか? それはトラックより質量のずっと小さい軽自動車のほうが、はるかに急激な速度変化(加速度)を受けるからです。同じ力を受けても、質量の軽い物体のほうがより大きな衝撃を受け、弾き飛ばされてしまうのです。
🤔 よくある誤解
大きなトラックと軽い軽自動車が衝突すると、トラックのほうが軽自動車に大きな力を与える。
衝突の瞬間に2台がお互いに及ぼし合う力の大きさは完全に同じです。ただ、軽自動車の質量のほうがはるかに小さいため、受ける加速度(速度変化)や変形がはるかに大きくなるだけです。
作用と反作用は大きさが等しく向きが反対なので、互いに打ち消し合って動かないはずだ。
2つの力は1つの同じ物体にかかるのではなく、異なる2つの物体にそれぞれ1つずつ働くため、打ち消し合わずにそれぞれの物体を動かします。
🧺 日常で出会う場面
自然界の力は常にペアで存在し、自分が対象を押した瞬間、相手も全く同じ大きさの力で自分を押し返してきます。