ボクセル

平面画面の点(ピクセル)を3次元の世界に持ち込み、一つひとつ積み上げたデジタルなレゴブロックです。

定義 ボクセル(Voxel)とは「体積(Volume)」と「画素(Pixel)」を組み合わせた言葉で、3次元空間で位置や色の情報を持つ最小の立方体単位のことです。平面の写真が四角い点の集まりでできているように、3次元の立体物を小さなキューブブロックの集合体として表現する技術です。

レゴブロックで積み上げる3次元の世界

方眼紙のマス目を塗って絵を描くことを「ピクセル(画面を構成する最小単位の点)」アートと呼びます。縦と横の位置しかない平面の絵ですね。一方で、粘土やレゴブロックを1コマずつ繋げて立体の彫刻を作るような方法が、まさにボクセルです。

パソコンやスマホの画面は2次元の平面ですが、私たちが楽しむ3Dゲームの世界は奥行きのある立体空間です。ピクセルが縦と横の位置情報しか持たないのに対し、ボクセルは縦・横に加えて奥行き(前後)の情報まで持った立体のキューです。

世界的大ヒットゲーム『マインクラフト(Minecraft)』を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。地面を掘ったり家を建てたりするとき、あらゆるものが四角いブロック単位に分かれていますよね。このように、3次元空間を一定サイズのキューブグリッドで埋めて立体を作る手法が、ボクセル技術の代表的な姿です。

2Dピクセルと3Dボクセルの構造比較 2D画素 3D立体 X Y +奥行(Z) X Y Z 平面ハート (横×縦) 立体ハート (横×縦×奥行)

中身が詰まったデータと空洞の『抜け殻』の違い

一般的な3Dゲームの多くは、ポリゴン(3Dオブジェクトの表面を形作る多角形の板)という方式を使っています。これは薄い折り紙を貼り合わせて作った張り子のように、表面の皮一枚だけで中は空洞になっている構造です。

一方、ボクセルは中身までキューブのデータでぎっしり詰まっています。そのため、物体を剣で切ったり爆弾で破壊したりしたとき、その断面や砕け散る破片の変化をはるかに自然でリアルに表現できます。

この特徴のおかげで、ボクセルは医療分野でも非常に重宝されています。病院で撮影するCTやMRIは、体の中を薄い輪切りにして何枚も撮影しますよね。この無数の断面写真を重ね合わせ、内臓の内部構造まで精密に3次元で再現する際にボクセルデータが大活躍しています。

ポリゴンとボクセルの内部構造 ポリゴン 中空 表面のみの殻 ボクセル 中実 中身の詰まった立方体

もう少し詳しく:なぜすべてのCGに使われないのか?

もう少し詳しく言うと、ボクセルは現実世界を精密かつ滑らかに表現しようとするほど、コンピューターに膨大な負荷をかけてしまいます。表面だけでなく見えない内部まですべてキューブデータとして処理しなければならないため、コンピューターのメモリ消費量と計算量が爆発的に増えてしまうからです。

曲線や丸みを帯びた表面を滑らかに見せるには、ブロックを砂粒のように超微細に細かくする必要があります。そうなると処理すべきブロックの数が数千億個にも膨れ上がり、一般的なコンピューターでは映像を滑らかに動かせなくなってしまいます。

そのため、現在のCG技術では、外見の描画には軽量なポリゴンを使い、破壊できる地形や煙・炎といった特殊効果、医療用の精密データなどに限ってボクセル技術を巧みに組み合わせる手法が主流となっています。

🤔 よくある誤解

✕ 誤解

ボクセルで作られたグラフィックは、マインクラフトのように必ずカクカクしたブロック状に見えるはずだ。

✓ 事実

ブロックのサイズを目に見えないほど極小にすれば、角が目立たず完璧に滑らかな曲面として表示できます。ただ、コンピューターへの負荷が非常に大きくなるという課題があります。

🧺 日常で出会う場面

1 『マインクラフト』のように立方体ブロックを壊したり積み上げたりして世界を創るゲーム環境
2 体内の臓器や骨を3次元の立体として可視化するCTやMRIの医療用精密画像
💡 つまり ひとことで

ボクセルは3次元空間を構成する体積キューブの単位で、物体の表面だけでなく内部までまるごと表現できるデジタルな立体ブロックです。