旧暦(太陰暦)
夜空に浮かぶ月の満ち欠けを見て日付を数える「自然の時計」です。
定義 月が地球の周りを一周しながら満ち欠けする周期を基準にして日付を数える暦(カレンダー)です。月が真っ暗で見えない日を「1日(ついたち・朔)」とし、丸い満月が明るく輝く日を「15日(望)」と定めて、1か月を約29日または30日として計算します。
月の形を見て一日一日を数えます
夜空を見上げたとき、毎日少しずつ姿を変える月を思い浮かべてみてください。爪のような細い三日月にはじまり、だんだんとふっくら満ちていき、いつの間にか丸い満月に、そしてまた少しずつ欠けて暗い月へと戻っていきます。昔の人々は時計や紙のカレンダーがなくても、夜空の月を見上げるだけで「今日がだいたい何日頃か」がすぐに分かりました。
月は約29.5日かけて地球の周りを一周します。月が太陽の光を受ける角度が変わることで、地球から見える姿が変化しますが、これを月の満ち欠け(月相)と呼びます。旧暦はまさに、この目に見える周期をもとに作られました。月が太陽の光の裏側に隠れて見えない日(新月/朔)を毎月1日とし、まん丸な満月が出る日(満月/望)を15日と定めたのです。
しかし、月が満ち欠けする周期は29.5日なので、日付をきれいに割り切ることができません。そこで旧暦では、1日を細切れにする代わりに、29日の「小の月」と30日の「大の月」を交互に配置しました。こうして交互に数えることで、1か月の平均の長さが約29.5日となり、実際の夜空の月とカレンダーの日付が見事に一致するようになります。
海と夜道を照らす生活のコンパス
海岸に行くと、潮が満ちてきたり遠くへ引いていったりする様子を目にします。満潮と干潮と呼ばれるこの現象は、月が地球の海水を引っ張る引力によって起こります。月の位置によって潮の高さが変わるため、旧暦の日付さえ分かれば「いつ潮が最も満ちるか」を簡単に予測することができました。
海へ漁に出る漁師や干潟で貝を採る人々にとって、旧暦は太陽暦よりもはるかに実用的なカレンダーでした。旧暦の1日と15日頃には干満の差が最も大きい「大潮」になり、旧暦の8日と23日頃には干満の差が最も小さい「小潮」が訪れます。海の潮の満ち引き(潮汐周期)は、旧暦の日付と完全に連動していたのです。
このように、夜道を照らす月明かりの明るさや海の潮時をあらかじめ知ることができたため、電気がなかった時代、旧暦は人々の夜と海を導く最も頼もしい生活のコンパスでした。
正確には:太陽の動きも組み合わせた暦です
より正確に言うと、私たちが伝統的に使ってきた旧暦は、純粋な太陰暦ではなく、太陽の動きも組み合わせた太陰太陽暦です。純粋に月の満ち欠けだけを追うと、1年12か月は約354日(29.5日 × 12か月)にしかなりません。地球が太陽の周りを一周する1年(約365日)より、毎年約11日も短くなってしまうのです。
このズレを放っておくと、たった3年でカレンダーが季節より1か月も先走ってしまいます。そうなると「8月の真夏に雪が降る」「1月の真冬に猛暑が訪れる」といったおかしな事態が起こります。農業を行うには季節の移り変わりを正確に知る必要がありますが、月の形だけを追いかけていては種まきの時期を完全に見失ってしまいます。
そこで昔の人々は、この問題を解決するために約19年の間に7回、ボーナスのような月である閏月(うるうづき)を挟み込みました。閏月がある年は1年が13か月になり、季節とカレンダーのズレを見事にリセットします。さらに太陽の位置を24等分した「二十四節気」を併用することで、季節の巡りも寸分の狂いなく把握できるようにしたのです。
🤔 よくある誤解
旧暦は農業をするために作られたカレンダーである。
農業には季節の変化を教える太陽の動きが不可欠です。純粋な太陰暦だけを使うと季節が毎年11日ずつズレてしまうため、実際の農作業には太陽の位置を基準にした「二十四節気」や太陽暦の仕組みが主に活用されました。
🧺 日常で出会う場面
月の満ち欠けを基準にして作られた暦で、季節のズレを修正するために「閏月(うるうづき)」を入れて調整します。